いい人になろうと頑張らない②

一方,いい人であろうと頑張り続けた場合である。
確かにいいことが続くかもしれない。上下左右との関係はうまくいくだろうから出世を重ねるかもしれない。それはそれで結構だけれど,自分の抑制を長く続けることによって起きる内側からの反動が心配である。
いわゆるノイローゼとか鬱病の発症である。いい人であろうとするあまりの病気だから「いい人病」と名づけた。

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心理学用語でペルソナという言葉がある。パーソナリティの語源になったラテン語だが,そもそもの意味は「仮面」である。
外に向かって表すその人の性格みたいなもので,仮面だからそれは本来の自分ではない。そのペルソナを演じるあまり,本来の自分の心を抑圧し過ぎると,内なる自分からの逆襲に遭うことがある。心の病である。
心理学や精神医学の世界ではそのように言われている。だから,「いい人病」は私のでっちあげでもない。

病気にならないまでも,本来の自分ではない自分を演じ続けることによって偽りの自分に対する人物評が固定化してしまい,リタイヤ後に生き辛くなってしまうかもしれない。厚化粧を続けているとスッピンで人前に出られなくなるようなものである。

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「一生厚化粧で結構!」という方もおられよう。そのような選択も自由だし,それならそれでもいいのであるが,それでは自分が自分らしく生きた期間がほとんどないままこの世とおさらばすることになる。悲しいことだと思う。

こんなふうに私は考えるので,この「自分返り」を自ら実践してきた。そして現役時代を無事に通過し,リタイヤ後も快適に過ごし,前期高齢者の仲間入りをしようとする今,それを振り返って(良かったなあ)と思っている。

これからもまっさらのスッピンで生きて,自分を解放し,人生を満喫しようと思っている。結果が良くても悪くても,少なくとも自分が納得する人生となることは間違いない。