【第1回 /後編】(前半より続き)村橋孝嶺さん 64歳でインターネットビジネスに参入。79歳でいよいよ株式上場へ!

Q.話題を変えて、生き方という部分でご自身で大切にしていることをお聞かせください。

人生は個人のプライベートな人生であろうと、ビジネスであろうと、一番大事なのは姿勢だと思います。
生きる姿勢。ビジネスに対する姿勢。姿勢の正しい人はだんだん良くなっていきます。姿勢の間違っている人は一時うまくいってもダメになってしまう。

では、どういう姿勢が正しい姿勢なのかと言ったら、仏教の言葉に「己を知る、これ人生の始めなり」という言葉があるのですが、己を知るっていうことが一番大事じゃないかと思うのです。みんなよく、自信があるとかないとか言いますが、本当の自信の意味ってわかってないと思うんですね。自信というのは「自分を信じる」と書きます。では、どういう自分を信じるかと言えば、「私は全く知識がありません。学問がありません。無学です。そして私は力がありません。無知、無力です。」これが己の姿だと思うのです。

無知、無力であるからこそ、私は学びます。人の話も良く聞きます。先輩の教えも良く理解するようにします。無力だから人の2倍努力します。こういう生き方は私は死ぬまで、おそらく変わることはありません。そういう自分を、自分で信じられます。これが自信だと思います。

そういう自信を持っている人は非常に強い。自分が無学、無知だと思っているから、うぬぼれることもないし、思い上がることもないし。だいたい失敗する時には、己を見失って思い上がったりうぬぼれたりして失敗することが多いのです。

本当に己を知り、本当の意味での自信を持った時にはね、やはり謙虚であるし、感謝の気持ちもあるし、そういう形で、生きる姿勢とか、ビジネスに対する姿勢、これこそが私は、一番大事なことであって、それを守っていけば、何をやったってだいたいうまくいくのではないかと思うのです。

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Q.なるほど深いお言葉です。ちょっとした小さな成功でも、収めてしまったりすると、勘違いする人って多いですね。私も身につまされる思いでお聞きいたしました。おっしゃる通りだと思います。その考え方をずっと持ち続けていたら、人間的にも成功者となっていけるかと思いますが、いかがでしょう?

「そうですね、私は今79歳ですけども、毎朝、本を読まない日は一日もありません。土日であろうと、ウイークデーであろうと朝、何ページかは、必ず本を読むようにしています。読みかけの本が10冊くらいは常に机の上に置いてあります。その日の気分で読むのですが、読んだって忘れることの方が多いんですよ。でも、なぜ読むかって言ったらね、本を読むたびに、己の無知を思い知らされる。なんて俺はバカなんだろうと。こんなことさえ知らなかった。己の無知を知らされることで、自分が正しい姿勢でおられる。そのために本を読むようなもんですね。新しい知識はもちろん必要だけれども、新しい知識以上に、己の姿勢を正すために本を読むのです。

そういう習慣っていうのは、持ってる人は結構いると思うんですよね。そういう、生きる姿勢みたいなもの、それは必ずしも読書だけじゃなくして、スポーツやる人でもいいし、いろんな自分の生き方っていうものがあるでしょうから、その中で、その人なりに、いろんな哲学が、価値観が生まれると思うんですよね。だからそれを自分の生きる真摯な姿勢に結びつけるような生き方をする人っていうのが、だんだんうまくいくのではないかと思います。」

Q.「姿勢」が大きなキーワードということですね?

「そうですね。社員でも、姿勢のいい社員は伸びます。姿勢の悪い社員は、少しくらい頭が良くったって、絶対、途中でだめになっちゃいますね。だから改めて、生きる姿勢っていうのは一番大事じゃないかと思いますね。」

Q.いくつになっても迷いはあると思うのですが、継続していくためのヒントになるお話があればお聞かせください。

「きれいごとみたいに聞こえますけど、私利私欲をあまり持たないこと。私利私欲があればどうしても目が曇ってしまうし、「朝(あした)に学べば夕べに死すとも可なり」、という言葉がありますけれども、やはり、ここまで生まれてきて、社会の恩恵を受けてきた。

それに対して自分は何でお返しするんだと。仕事を通じてじゃないとお返しできない。じゃあ、仕事を通じて一生懸命お返ししていこう。そのためには学ばなきゃいけない。だから、今日学べば、明日死んでもいいよ、みたいなね。

きれいごとじゃなくって、あまりたくさんを望んでみても、無理だと思うんですよね。

人間っていうのは、ほんとに長いようで短い一生、その中で多くを望んでも無理なんで、自分が受けた恩恵を、どう社会に還元していくか、そのためには自分が学ばなきゃいけないな、っていう、ただ、そういう生き方だけです。他に欲はないですね。」

Q.今まで生きてきて受けた多くの恩恵を、今度は社会に還元するというお話かと思います。「姿勢」を持ち続けるというところも、社会に対する還元という気持ちがあるから続くのかと思いますがいかがですか。

「そうですね。大阪に行こうと言ったって、新幹線があるから短い時間で行けるのだし、飛行機があるから九州まででも行けるんだし。

これも社会の恩恵だと思うのです。これは誰がどうしてくれたというのではなく、たくさんの人々のおかげで、自分が便利な生活をさせていただいている。それに対して、自分もその一翼を担って、少しでも皆さんの利便性を図っていく。それが自分の役割じゃないかなっていうね。

そういう形で、あまり欲を出しても、上手くいかないと思うけれども、欲じゃなくて、何が正しいのか、何が間違っているのか、正しいことをやりつづける、みたいなね。そういう姿勢が一番、自分でも後悔しない人生だと思います。

人生の終末を迎えた時に、後悔しない方っていうのは、やっぱり自分の信じたことを貫いて生きてきた。ぶれなかった。自分の人生は物心ついてからそんなにぶれてないよ、と思えれば、満足して、感謝して、死ねると思うんですよね。

だからやはり、ぶれない姿勢で生きて行く。それが一番大事なところだと思いますね。」

「ありがとうございます。今回の質問の答えを最後にまとめていただいたところで、本日は大変ありがとうございました。」